マインドフルネスで次元を超えた成長を実現する

バランスト・グロース・コンサルティング株式会社 取締役 松村 憲

マインドフルネスはいかにビジネスパーソンに有効か?

近年ビジネス文脈でも注目を集めるマインドフルネスだが、今回のコラムでは、一般的に言われているマインドフルネスの本質を追求し、その応用が私たちの成長をいかに高めてくれるかについて書いてみたい。

脳を向上させる

マインドフルネスは脳をどのようにアップデートしてくれるのだろうか?近年の研究で言われている重要な事実は、脳の休息とマインドフルネスの関わりである。脳のエネルギーの6?8割は、何もしていない時に働く脳内ネットワークであるデフォルト・モードネットワーク(DMN)に関わると言われている 。
DMNは仮に体を休めていても働き続けており、例えばネガティブな思考が継続されているならばストレスを生み出し続け、身体に負荷をかけるきっかけになるかもしれない。このDMNの活動を休ませる可能性があるものがマインドフルネスだ。こうした科学的な根拠の視点から考えても、マインドフルネスを実践する価値はあるだろう。

メタ認知を成長させる覚醒のステップ

あらゆる複雑な状況において判断が要求されるのが現代のビジネスリーダーではないだろうか?状況を客観的に分析し、視野を広く持ち、冷静な判断をしていくためには、自分さえも客観的に捉えるようなメタ認知が必要になる。これはマインドフルネスで育む意識の状態と実は関わっている。マインドフルネスのルーツは、仏教をはじめとした霊的な伝統にあり、意識の覚醒というステップは世界の伝統から見出される。


意識の主要な覚醒のステップは4つの段階がある。グロス>サトル>コーザル>非二元がそれである。グロス(粗雑)の意識は客観的、分析的、認知的な機能に関わる。サトル(微細)領域はより感情的な次元、感覚的な次元に関わると考えられる。そして、コーザル(元因)な領域は純粋な観察を意味しており、マインドフルネスでトレーニングできる部分と言える。それは、あらゆる外的・内的に生じている経験や出来事を、一点の曇りもなく、判断や意味づけなくして観察する視点のことだ。よりわかりやすく言えば、思考モードから気づきモードへの移行だ。これを極限まで引き延ばすことができると、アイデンティティのシフトが生じる。そして最後に、非二元というさらなる覚醒へといたるステージがあるとされる。禅の中でも悟りの状態が様々に形容されているが、この意識状態を達成すると、月を文字通り「触る」という感覚がリアルなものになると言われている。
グロス

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発達心理学とマインドフルネス

マズローの欲求階層説や、ローバート・キーガンを始め発達論はビジネス文脈でも語られることが多い。意識の構造やあらゆる思想、哲学に精通している知の巨人ケン・ウィルバーによると、こうした意識の発達論は共通して6?8段階ほどに分かれて説明されている。こうした発達論は非常に優れた研究だが、ここ100年程度の歴史の中で築き上げられたものだ。ウィルバーはマインドフルネスをさらに進化させるために、発達論とマインドフルネスの接点についてかたっている 。


マインドフルネスの訓練を積み自覚を高めるだけでは、こうした発達論は見えてこない。それは知識と理解がないままでは、「隠された地図」であるからだ。多くの人は自分がどの発達段階にあるかの自覚がないために、同じものや状況を見ていても全く違う印象で見ている可能性がある。

発達のステージを知ること、そして自分がいるステージを理解し、どこが成長ポイントであるのかを知ることが重要になる。さらには、マインドフルネスで培った明晰な、今ここの曇りと判断なき目で自分自身を内省することを続けると、発達課題を乗り越えステージを上っていくことも可能になる。あなたも自分がどのステージにいるかがわかったら、自分の課題状況にマインドフルネスを向けてみることができる。そのコツは、まるでその状況の自分を客観的に外から見るように観察することだ。それは今ここのマインドフルなレーザーのような眼であり、思考や意味の探求を挟まない。

インテグラル

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人間関係に向けるマインドフルネス

個人であれ組織であれ、人の営みの中では人間関係を避けることができない。いわゆるマインドフルネスの訓練は一人で行うものが多く、関係性に焦点を当てることはない。どうしたら、人間関係をより円滑なものにできるだろうか?

あらゆる人間は、理解を求めている。相手を理解する、相手の立場に立つと言うことは簡単だが、実行することは難しい。マインドフルネスの文脈で考えれば、それは私たちが「自分」というものに固執しているからだ。仏教はこの執着を手放しなさい、というのが教えての中心になっている。

例えば、二人の人間関係の葛藤で生じやすい典型的な問題は、自分の好みと事実の混同からもたらされる。あなたが何かを好み賞賛するとしたら、それはあなたの好みに過ぎない。しかし、その好みが普遍的な真実であるかのように語ると「絶対?がいい!」という語りになる。相手はどう感じるだろうか?事実には色付けがされていないはずである。その事実にどのような好みを持つかは個々人にかかっている。皆さんの関係性においてもそのような状況はないだろうか?自分が好みを真実として語っていることはないだろうか?

好みと事実を分化できると、そこに「個人」が尊重されるスペースが生まれる。私の好みと同じように、あなたにも好みがある。同じように、私の好みとして語られる「私たち」と、同僚や部下の考える「私たち」にも常にギャップがある可能性が高い。マインドフルネスを関係性に噛み砕いて応用することは、あなたの関係性のパターンを明らかにして、本当の意味で他者を大切にする、個々人の力を引き出すリーダーになる可能性を開いてくれるだろう。

【セミナーのご案内】

上記の視点は、マインドフルネスの基本トレーニングを発展、応用させた最先端のアプローチになると考えている。バランスト・グロース・コンサルティングでは、ケン・ウィルバーの最新著にも言及しながら、最先端のマインドフルネス瞑想の知恵と方法を伝授するセミナー「【マインドフルネス】次元を超えた成長を実現する」を8月4~5日に企画している。自分を高めることや、このテーマに関心がある方のご参加をお待ちしている。

http://peatix.com/event/263757/