『受講レポート』組織において人と人が”役職”ではなく”人間性”で繋がることをどうサポートするか?~スティーブン博士とプロセスワークからの学び

バランスト・グロース・コンサルティング株式会社 コンサルタント 斉藤 光弘

2017年3月18日・19日の2日間、バランストグロースが主催し、米国プロセスワーク研究所元所長 スティーブン・スクートボーダー博士の「世界最高クラスの講師から学ぶプロセスワーク ~変革の知恵を身に着け、卓越したリーダーシップを育む~」が開催されました。

スティーブン博士のセミナーへの参加は、昨年に続き、2回目だったのですが、 彼のファシリテーションは、参加者が発する小さなシグナルを見逃さない高い感度を持ち、場をしっかりとホールドしながらも、ユーモアを忘れず、素晴らしい時間となりました。

企業でマネジメントの要職に就くエグゼクティブ向けに開催された本セミナーの大まかな内容としては、プロセスワークの考え方をベースに、スティーブン博士の経験に基づくレクチャーと、ワークを織り交ぜながら、

・組織の中でそれぞれのメンバーが持っている/ 失っているパワーの源となる”ランク”の考え方
・その”ランク”の違いによって生じる”主流派(メインストリーム)”と”非主流派(ゴースト)”の見極め方
・組織/ 個人の変化を阻害するエッジ(信念や価値観、態度)の考え方
・組織変革を進める際に抑えるべき3つのポイント(ビジョン・既存のやり方への親密さ・抵抗)

等々・・・

組織開発に関わる内部/ 外部の実践者が、変革を促す上で、取り組まなければいけないチャレンジについて、プロセスワークの専門用語を必要最低限にして、ビジネスパーソンにもわかりやすくレクチャーは進められました。

中でも、感動的だったのが、「女性活用についてのダイバーシティ推進」をテーマにグループワークをしたときです。女性活用推進派/非推進派に分かれて、参加者がそれぞれの立場(ロール)を取りながらディベート的に、議論をしていました。プロセスワーク型のロールプレイで面白いのが、時折、その立場をスイッチして異なる立場からも発言し、それぞれがどんな想いや価値観からその立場を取っているのかも、味わってみます。

絶対の正解がない問題ですので、”論理”や”正しさ”を軸に議論をしていくなかで、それぞれが寄って立つ根拠があるので、結論も出ず、感情的な対立だけがどんどん激しくなっていきました。お互いの正論を振りかざしながら、ディスカッションはどんどん攻撃的になっていきます。

そんな中、参加者の男性の一人が、「このやりとりは戦争みたいだ。それぞれの立場から協力できる方法はないのか?」ということを、涙ながらに語ったのが一つの転機になりました。そこから、それぞれの参加者が持っている”パーソナルストーリー”が共有され、”論理”をベースにする議論するのではなく、”感情”を持つ人間、一人ひとりの繋がりがその場に生まれてきて、場の空気が一変しました。

普段の職場でも、わかりやすく理路整然と物事を伝え、ロジックで押し通そうとするあまり、もともと持っている感情や想いが抜け落ちてしまったり、薄まってしまい、結果として人の心にメッセージが届かなくなっていることがあると思います。人と人が協力関係を築くためには、肩書きや役割から発せられる言葉ではなく、その人の奥底にある人間性の部分から語られる言葉が必要なのだと強く感じました。

この研修の中はある意味でリスクフリー。初日に初めてあった参加者同士ですので、ここでの議論が上司の機嫌や自分の昇進に影響することもありません。それぞれが所属する葛藤だらけの組織の中で、外部支援者としてこうした本当の変革に繋がる場作りの一連のプロセスをどうサポートするか? 内部で組織開発を実践するみなさんと深く考えたいテーマです。


【参考】

バランストグロース Web

「世界最高クラスの講師から学ぶプロセスワーク(エグゼクティブ向け)~変革の知恵を身に着け、卓越したリーダーシップを育む~」
< http://bit.ly/2oO4j6s>

世界最高クラスの講師から学ぶプロセスワーク(経験者向け:ファシリテーターとしての卓越性を育てる)?職場におけるランク/力/周縁化の力学を扱うには
<http://balancedgrowth.co.jp/wp/seminar/processworkforprofessionals2017.php>