経営者の重要な役割には、あらかじめ計画的な戦略を作り上げることのみならず、新しい戦略が出現するような組織状況(学習する組織)を構築することが含まれます。私たちのアプローチは、この組織状況を作るために、「内発的戦略」というアプローチを取ります。
つまり、ミドルが自社の内外環境を分析し、なぜ変革を起こすのか?何を何に変えるのか?どのように変えるのか?について対話と議論を繰り返し、彼らがトップの方針を解釈、具体化した戦略仮説としてトップにぶつけて対話します。そのまま進めるGoが出れば、周囲を巻き込む過程で抵抗勢力とどう向き合うのかという課題に直面し、その向き合う過程を通じて組織の上下・左右の関係性を変えていきます。そうした過程を通じて、ミドルは経営視点と現場情報を持って周囲を巻き込む変革リーダーに成長し、彼らを起点として組織の中に「新しい戦略が出現する組織状況」を整えていくアプローチです。
そのため、私たちは、外部から(トップダウン・オンリー、外部コンサルタントから)の優れた戦略をミドルや現場に与えることの弊害(=動機付けられない、実行されない)に焦点をあて、ミドルと現場が自律的に動機づけられた戦略仮説とその実行、実行を通しての戦略修正を繰り返しながら激しい市場環境変化に適合させ続ける、学習する組織づくりを目指しています。
“With a hammer in your hand , the whole world looks like a nail”
ある特定の打ち手に偏ると、どうしてもその打ち手がすべての問題への対応策に見えてきてしまうことを戒める A.H.マズロー(米心理学者)の名言です。
研修手法、組織開発(対話手法)ツール・手法は様々ですが、重要なのは、やみくもに対話会やチームビルディング合宿などの打ち手を講ずることではなく、組織で起こっている症状(潜在的/顕在的)とその背景を曇り無き目で把握し(診)、正しく見立て(証)、適切な働きかけをする(療)という東洋医学の基本にも沿ったアプローチが重要です。
変革の必要性が生じている時には「変革の必要性」「方向性」「進め方」について必ず心理的な葛藤が生じています。
この葛藤から“火を消そう”としてしまいますが、そうすると消しても消しても火は燻り続け、組織の関係性もパフォーマンスも悪化していきます。
火を消すのではなく、“火の本質を理解しよう”とするスタンスを取ることで、葛藤は組織の生命力と創造性に寄与する前向きなエネルギーに変化します。
まず組織内・外関係者「感情や想い」が絡み合う集団心理の構造を俯瞰して捉え、何が葛藤の本質なのか、どの関係性にどのように介入すれば良いのかを、MBA的な分析に加えて、プロセスワークという心理学も使いながら見立てていきます。