2013年11月27日 新井宏征[バランスト・グロース パートナー]
日本でもこのタイミングでシナリオプランニングの新刊が何冊か発売されたりと、シナリオプランニングが盛り上がってきました(その盛り上がりに乗っかって、Facebook上に「シナリオプランニング実践会」というグループを作成しました。ご関心がある方、ぜひ「いいね!」をお願いします)。
そのうちの一冊が『シナリオ・プランニング――未来を描き、創造する』で『Scenario Planning: A Field Guide to the Future』の翻訳版です。原著も目を通していたのですが、翻訳版も原著同様、ビジュアルが豊富な楽しい作りの本になっていて、オススメです。
先月、わたしがファシリテーターを務め、バランスト・グロースのメンバーでシナリオプランニングを実践してみました。テーマは「研修ビジネスの10年後」とし、弊社の10年後を考えるきっかけとするためのシナリオ作成を目指しました。
写真はドライビング・フォースを出し切った後、それを「不確実性」と「影響度」でマッピングしたものを見直している場面です。 今回、改めてシナリオプランニングのファシリテーションをやってみて実感したのが、ドライビング・フォースを出すことの難しさです。
先ほどご紹介した『シナリオ・プランニング――未来を描き、創造する』ではSTEP3としてドライビング・フォースの特定について紹介されています。
ここではドライビング・フォースを「未来に大きな変化をもたらす可能性を持つなにか」と定義しています。そして、ドライビング・フォースは「多ければ多いほどいい」と書かれています。では、実際にどのくらい出せば良いのでしょうか?『シナリオ・プランニング――未来を描き、創造する』では、「通常のワークショップでは、100項目程度のドライビング・フォースがすぐに挙がる」と書かれています。
「すぐに挙がる」と書かれているものの、100項目というのは簡単に出せる数字ではないことも確かです。
そこで考えるためのきっかけ、言い換えればフレームワークのようなものが必要です。その中でも有名なものが、マーケティングなどの外部環境を考えるためのPESTというフレームワークです。これは政治、経済、社会、技術を意味する英語の頭文字を取ったものです。
また『シナリオ・プランニング――未来を描き、創造する』では、「包括的なモデル」としてSTEBNPDILEという10のカテゴリを紹介しています。
・社会(Social)
・技術(Technological)
・経済(Economic)
・ビジネス手法(Business method)
・天然資源(Natural resources)
・政治(Political)
・人口動態(Demographic)
・国際(International)
・法律(Legal)
・環境(Environmental)
しかし、これではさすがに多い。 ということで、わたしはこの本でも単語だけ紹介されているSTEEPをよく使っています。STEEPとは、
・社会(Social)
・技術(Technological)
・経済(Economic)
・環境(Environmental)
・政治(Political)
の頭文字を取ったものです。 これをきっかけにドライビング・フォースを出していくのがシナリオプランニングにおいて非常に重要なプロセスです。