この年末年始は短いお休みの方も多かったと思いますが、皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか? 私は久しぶりに塩野七生著「ローマ人の物語」を1巻から数冊読み直しましたが、多様性とイノベーションについて大変示唆に富んでいました。 「知力ではギリシア人に劣り、体力ではケルトやゲルマン人に劣り、技術力ではエルトリア人に劣り、経済力ではカルタゴ人に劣る、そのローマ人だけがなぜ大帝国を築き、それを長期に渡って維持することが出来たのか」 この長編の導入部にある「問い」は、自社の持続的な成長を願うビジネスパーソンの興味を引きつけずにはいられません。
創業10年が経つものの、まだまだビジョンの実現に程遠いバランスト・グロース代表の私もその一人です。 そのローマも成長フェーズに入る前に、実に500年もの苦労の絶えない長い助走期間を持っていたこと、そして後にローマが大をなす要因の殆どはこの500年の間に育まれたという事実は、多くの企業人の例に漏れず、私も大いに励まされた次第です。
著者の塩野氏はその成長要因として、
・宗教の多様性を認めることで、他民族と対立より内包関係に進みやすい
・国内の対立関係を解消するローマ独自の政治システム
・敗者さえも自分たちと同化したり、失敗したマネジメントを罰しないし、それを自他共恥とは思わない性質
をあげています。 21世紀の現在において、多様性とイノベーションというテーマについての最先端の研究は「ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学」(入山章栄著)に分かりやすく記述されていますが、ローマ人の起こした数々のイノベーション(武器や戦術的レベル、経営戦略・人材マネジメントレベル)が最先端の経営学に照らしても実に理に適った多様性マネジメントによる「知の探索」と「知の深化」の産物であったことが見て取れます。
そして、多様性をイノベーションにつなげるためのミッシング・リンクである「個人のクリエイティビティを高める領域」も新コラムを通じて知の探索に取り組んでいきます。 2017年は占いの世界では「はじまり」の年と言われています。皆様の内なるイノベーターを更に刺激できるよう、私達自身の内なるイノベーターを育てていきたいと思います。
代表パートナー 松田 栄一